人と魔物が争っていた時代の最中、蜘蛛姫・アラーニェは非常に退屈していた。
余計な争いから隠れるためとはいえ、人里離れた神殿でただひたすら同じ日常の繰り返し。
付き人の鳥娘・ルピュアと一つ目鬼娘・スィークに無茶難題を吹っかけてみても、まるで心が満たされることがない。
「えぇい退屈じゃ退屈じゃ! 妾にもっと面白いことをもってこんか!」
「そうは言いましても姫様……このような地で面白いことなど、とてもとても」
「……戦争が終わるまでジッとしてるの。それが一番なの」
付き人二人の説得も虚しく、アラーニェは今にも暴発してしまいそう。
そんなアラーニェの脳裏に電流が走る。
「そうじゃ、召喚じゃ! 妾の力を持ってすれば、異界の扉を開くことなど造作もない!」
「ちょ、姫様! やめましょうよ。きっと碌でもないことになりますってば!」
「姫の閃きは厄介ごとしか持ち込まないの。勘弁して欲しいの」
止めに入る付き人ふたりだが、アラーニェは聞く耳もたず、異界の扉を開き召喚を強行する。
さて、何が現れるのか……期待に胸を弾ませるアラーニェ、不安に押し潰されそうなルピュア、呆れてものも言えないスィーク。
「ってぇ……なんだよいったい、いきなり爆発とか……って、なんじゃこりゃぁっ!?」
現れたのは、ヒビキという人間の男性。
突然の出来事に目をパチクリさせるヒビキを余所に、アラーニェは非常に楽しそう。
この出逢いが何をもたらすのか、三者三様の思いを抱きながら、四人の共同生活が……
「ふざけんな! 帰せよ!」
「無理じゃ。召喚は一方通行、これは常識じゃぞ常識」
「そんなバカな話があってたまるかーーー!!」
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THE END
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